「旅行会社に就職したいんです」
毎年、こういう相談を受けます。
旅行が好き。
海外が好き。
人と接する仕事がしたい。
いつか旅行会社で働いてみたい。
はいはい、わかります。
旅行会社って、学生さんからすると華やかに見えるんですよね。
海外旅行。
ホテル。
航空券。
添乗。
観光地。
お客様の一生の思い出になる旅行を作る。
素敵ですよ。
でもね。
「旅行が好きだから旅行会社に入りたい」だけでは、ちょっと危ない。
今日は、旅行会社に就職したい新卒の皆さんに、少々厳しいことも含めてお話しします。
マダムの時代は、就職氷河期でした
マダムの時代は、就職氷河期でしたからね、ええ。
どこもかしこも、まるで協定を結んでいるかのように、
「今年は採用を見送ります」
だったり、
「若干名」
だったり。
そもそも採用枠がない。
だから、普通だったら内定をもらえるようなレベルの人でも、不採用になる。
とにかく激戦でした。
今の新卒市場とは、まるで違います。
今は「売り手市場」と言われていますからね。
学生側からすれば、ありがたい時代です。
でもね。
売り手市場だから、自分も希望する会社に入れる。
そんな単純な話ではありません。
旅行業界は、そもそも安泰な業界ではない
旅行会社を目指すなら、ここはちゃんと知っておいてほしい。
旅行業界って、はっきり言って、安泰ではありません。
むしろ、外部環境に非常に左右されやすい業界です。
旅行って、生活に絶対必要なものではありませんよね。
もちろん、旅行には大きな価値があります。
人を幸せにする。
人生の思い出を作る。
知らない世界を見る、触れる。
マダムは旅行の仕事をしてきた人間ですから、その価値を否定するつもりはありません。
でも、極端な話をすれば、
旅行は「なくても生きていけるもの」なんです。
だから、世の中が不安定になったときに真っ先に影響を受ける。
コロナのとき、旅行業界は本当に地獄でした
これは、今の学生さんには想像しにくいかもしれません。
コロナ禍。
人が移動できない。
海外に行けない。
飛行機に乗れない。
ホテルに泊まれない。
旅行会社なのに、旅行が売れない。
もう、完全にフリーズです。
旅行業界にとっては、本当に地獄の日々でした。
あのとき、業界を離れていった人もたくさんいました。
そりゃそうですよ。
仕事がない、給料ない。
先が見えない。
いつ旅行が戻ってくるのかわからない。
「もう無理」
そう思って辞める人がいても、誰も責められません。
でも、その一方で、
「給料?手取り額見たら悲惨だけど、やっぱり旅行業がいいな」
「この仕事が好き」
「旅行が戻ってくるまで頑張る」
そうやって歯を食いしばって残った人もいました。
もちろんきれいごとだけでは語れません。
中堅社員あたりになると、もう後戻りできないというか、、
旅行業界にどっぷり浸かってしまっていて、家庭もある。
今更まっさらな気持ちで異業種に飛び込む勇気はない。
旅行業の仕事しかしてこなかったから、それ以外のスキルがない。
という厳しい現実を突きつけられ、残る人が大多数です。
一度異業種に飛び込んだけれど、出戻ってきた人多いですしね。
コロナが初めてではありません
そして、旅行業界が地獄を見たのはコロナが初めてではありません。
9.11もありました。
SARSもありました。
その他にも、テロ、感染症、自然災害、国際情勢など。
旅行業界は、数年に一度のペースで大きな打撃を受けています。
「旅行業界は平和で安定している業界」
と思っているなら、それはちょっと違います。
平和で、世の中が安定していて、人々が自由に移動できる。
そういう環境があってこそ、旅行業界は元気に商売ができる。
だからこそ、旅行業界を志望するなら、
「旅行が好き」
だけではなく、
マイナス要素も見据ええた上で
「それでも私は、この業界で働きたい」
と思えるかどうか。
そこまで考えてほしいんです。
また別の機会に書きたいとおもいますが、
大手であっても薄給です。
学生さんは、生活感がないからまだあまりピンとこないかもしれませんが、
他の業界と比べると、笑ってしまうほど給料はひっくー!
ボーナスも期待できませんし、本当に生涯年収が大きく変わるので、
長い目で見る必要がありますね。
「旅行が好き」だけでは、志望動機にならない
これも、毎年言いたくなること。
「旅行が好きだから旅行会社を志望します」
はい。
それはわかりました。
でも、面接官からすると、
「で?」
なんですよ。
旅行が好きな学生なんて、山ほどいます。
では、あなたは旅行会社で何がしたいの?
ここです。
たとえば、
「旅行を通して地域の魅力を伝えたい」
でもいい。
「お客様一人ひとりに合わせた旅行を企画したい」
でもいい。
「海外旅行を通して、日本ではできない経験を提供したい」
でもいい。
「訪日外国人旅行者に、日本の魅力を伝える仕事がしたい」
でもいい。
「旅行をきっかけに、人と地域をつなぐ仕事がしたい」
でもいい。
大切なのは、
「旅行が好き」から、その先まで考えること。
旅行会社の就活、いつから始める?
では、本題。
「旅行会社に就職したいけど、いつから就活すればいいですか?」
という話。
マダムなら、
「大学3年生の夏から始めなさい」
と言います。
もちろん、企業の正式な採用スケジュールは会社によって違います。
でも、「本選考が始まってから動けばいい」なんて考えないこと。
それでは遅い。
大学3年生・夏
まずは業界研究。
旅行会社って、そもそもどんな仕事をしているのか。
総合旅行会社
オンライン旅行会社
国内に強い旅行会社
海外に強い旅行会社
法人旅行に強い会社(インハウス系)
いろいろあります。
インターンシップやオープン・カンパニーにも参加してみる。
この段階では、第一志望を決めなくていい。
とにかく調べる、知る。
自分は、大手総合旅行会社だけ興味あるから、オンライン系はスルーなど
絶対にしないように!
自分で勝手に切り捨てず、業界全体の構図を知れば、いかにオンライン系が重要るか、
そして大手旅行会社の最大のライバルであるかが見えてきますね。
業界研究をするためにも、しっかり調べて業界全体について学びましょう。
大学3年生・秋
業界全体のことが把握できたら今度は企業研究。
「この会社は何が強いの?」
「他社と何が違うの?」
「自分がやりたい仕事は、この会社にある?」
ここを調べる。
そして自己分析。
自分は何が得意なのか。
人と話すのが得意なのか。
企画するのが好きなのか。
文章を書くのが得意なのか。
数字を扱うのが得意なのか。
人の相談に乗るのが得意なのか。
自分のことを知らないまま就活を始めても、結構しんどいですよ。
大学3年生・冬
ESと面接の準備。
「学生時代に力を入れたこと」
いわゆるガクチカですね。
これも早めに作っておく。
そして、
「なぜ旅行業界なのか」
「なぜ旅行会社なのか」
「なぜこの会社なのか」
この3つは答えられるようにしておく。
大学3年生・3月
ここから一気に忙しくなります。
エントリー。
説明会。
ES。
適性検査。
会社によっては選考も進みます。
ここで慌てないために、夏から準備しておくんです。
「自分には特別な経験がありません」
これも、よく聞きます。
「留学していません」
「体育会系じゃありません」
「サークルの代表でもありません」
「すごい資格もありません」
だから自分は不利。
いやいや。
ちょっと待って。
企業が欲しいのは、「すごい経歴の人」だけじゃありません。
アルバイトでもいい。
部活でもいい。
サークルでもいい。
ゼミでもいい。
趣味でもいい。
何か一つ、掘り下げてみてください。
「アルバイトを3年間続けました」
だけではなく、
「新人がすぐ辞めてしまうことが気になって、自分から声をかけるようにした」
なら、そこにはあなたの考えと行動があります。
大事なのは、
何をしたかだけではなく、なぜそうしたのか。
そして、
その結果、何が変わったのか。
ここです。
採用人数が少ないなら、どうする?
就活をしていると、
「今年は採用人数が少ないみたいです」
なんて話も出てくるでしょう。
そこで、
「じゃあ無理だ」
と思わない。
マダムの時代なんて、そもそも採用がない会社が普通にありましたからね。
それでも内定を取る人はいた。
だから考える。
「この状況で採用される人は、何をしているんだろう?」
ここです。
「今年は採用が少ないから無理かもしれない」
「景気が悪いから仕方ない」
「自分には特別な経験がないから難しい」
そうやって、最初から自分で可能性を狭めない。
企業研究が足りないなら、やる。
ESが弱いなら、書き直す。
面接が苦手なら、練習する。
旅行業界の知識が足りないなら、勉強する。
実際に旅行商品を見てみる。
旅行会社の店舗にも行ってみる。
できることは、まだまだあります。
最終的には「この人と働きたい」と思ってもらえるか
就職活動は、もちろん運もあります。
タイミングもあります。
企業との相性もあります。
だから、
「努力すれば必ず第一志望に受かる」
なんて無責任なことは言いません。
でもね。
面接官も人間です。
最後は、
「この人と一緒に働きたい」
と思ってもらえるかどうか。
ここが大きい。
だから、周りと同じように、
「旅行が好きです!」
「御社の企業理念に共感しました!」
だけではなく、
「私はこういう人間です」
「こういう経験をしてきました」
「こういうことができます」
「だから、御社でこういう仕事がしたいです」
と、自分の言葉で話せるようにしておく。
売り手市場だからこそ、油断しない
今は売り手市場。
だからこそ、私は言いたい。
「売り手市場だから大丈夫」と思わないで。
あなたが入りたい会社が、あなたを採用してくれるとは限りません。
旅行会社は、誰でも入れる会社ではありません。
そして、仮に入社できたとしても、旅行業界は決して楽なだけの業界ではありません。
華やかな仕事の裏側には、
地味な事務作業もある。
営業もある。
クレーム対応もある。
数字との戦いもある。
添乗や出張で体力を使うこともある。
そして何より、外部環境に左右される怖さもある。
それでも、
「やっぱり旅行が好き」
「旅行を仕事にしたい」
「旅行を通して人を喜ばせたい」
そう思えるなら、挑戦してみてください。
どんな時代でも、内定を取る人はいる
就職氷河期でもいました。
コロナ禍でも、採用される人はいました。
採用人数が少なくても、内定を取る人はいる。
景気が悪くても、いる。
では、その人たちは特別な人なのか?
もちろん、そういう人もいるでしょう。
でも、全員がそうではありません。
自分のことを考えて。
企業のことを調べて。
業界のことを知って。
何度もESを書き直して。
面接で失敗して。
また練習して。
そうやって、一歩ずつ準備してきた人たちです。
だから、
「自分もその一人になるには、どうすればいい?」
と考えてほしい。
これが、マダムから新卒の皆さんへの一番のアドバイスです。
旅行会社に入りたいなら、今日から始める
大学3年生なら、もう始めていい。
いや、始めたほうがいい。
まずは旅行会社を10社調べてみる。
気になる会社のインターンを探す。
自分のガクチカを書いてみる。
「なぜ旅行会社なのか?」を紙に書いてみる。
そして、
「なぜ、この会社なの?」
と自分に問いかける。
答えられなかったら、また調べればいいんです。
最初から完璧じゃなくていい。
一つずつでいい。
就活って、結局そういうものです。
「今年は採用が少ないから無理かもしれない」
ではなく、
「この状況で採用される人は、何をしているんだろう?」
と考える。
「自分には特別な経験がない」
ではなく、
「自分が今までやってきたことの中に、仕事につながる強みはないか?」
と考える。
そして、自分にできることを一つずつ増やしていく。
どんなに厳しい時代でも、採用される人はいます。
だったら、
「自分もその一人になる」
そのつもりで、今から動いてみてください。
旅行業界を目指す皆さん。
マダムは応援していますよ。











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